とるころーるの備忘録日記

なんかもうごちゃまぜ

長文感想マンになろう! ~私の長文感想の書き方紹介~

 先日、ある増田が話題になった。

anond.hatelabo.jp

 

 まあ、簡潔にまとめると、ある二次創作マイナーカプ界隈に、自分の好みの作品に対して長文かつ的確な感想を書く「感想屋」なるもの(引用元記事の筆者が命名)が現れ、界隈の神作家たちが、感想ほしさに(と筆者は思っている)感想屋の好みに合わせて作品を書くようになってしまった。作家の作品傾向が一人の感想屋によって変わってしまったことに対して嘆いている記事である。

 

 感想を書くのもひとつの能力なので、感想屋(この名づけ方もどうかと思う、揶揄の響きがあるので)の方はすごく優秀なんだなあと私は思ったのですが、これは結局みんなが感想の書き方を知ればそれで解決する話なんだよな、とも思った。

 

 私は長文感想を書くことに苦手意識がまったくない。別に特別得意というわけでもないけど。というわけで、この記事は私の感想の書き方について僭越ながら書いてみようと思い立ったものである。

 

対象となる方:

〇そもそも感想の書き方がわからない。何を書けばいいんだろう

〇短文感想は書けるけど長文感想は書けない

 

 感想書けるけどこわくて送れないという人はChapter. 2だけ読んでくだされば大丈夫です(大したこと書いてないですが)

 感想の書き方なんて千差万別なので、あくまでこれは私個人の書き方紹介です。こう書かないとだめとかじゃなくて、参考程度のものであること、ご了承ください。

 

 

Chapter. 0 感想とは

 大仰なタイトルで恥ずかしい。私なりの「感想とは何か」だが、感想とは①「どの部分に」②-a「どう感じたか」②ーb「どう解釈したか」であり、③「そのように思った理由」を書くものだと思っている。そして、普通の感想なら①、②aで足りるが、長文感想を書くポイントは②b、③である。

 

 ①「どの部分に」

 これは簡単。誰でもできる。該当ページ、コマ、該当表現を書けばよい

 例:○○頁の誰々の台詞が~、△△頁冒頭の「…」このたとえ表現が~

 

 ②ーa「どう感じたか」

 ②は感想の肝。

 ②ーaは、短いものであれば形容詞を使うのが楽だ。かっこいい、かわいい、きれいなど。別に形容詞じゃなくてももちろんいい。繊細、お洒落、素敵など。

 この部分は自分の熱量を伝える部分。難しい語彙は必要なく、自分がその物語に触れて、どう感じたのかを書けばいい。語彙がなければエクスクラメーションマークをふんだんに使って熱量を伝えてみてもいいだろう

 

 例:

・じーんときた、胸に迫るものがあった、嗚咽が止まらなかった、しばらく呆然として何も手につかなかった

・んがっこいいいいぃいい!!!!と思わず叫んでしまいました!!!!かっこよすぎて目の前がバラ色です、明日からも元気に生きられます!!!!五体投地!!!!!

・エモい!!!!!!エモすぎて今なら休火山を活火山に変えることさえできそう!!!!!!!!

・二人が可愛すぎてひれ伏しました!!!!ひれ伏した頭は地面にめり込み、ブラジルに到達してしまいました、、、ハローブラジル

 

 後半はなんか下手な大喜利みたいになっていますが、別にそれでいい。かわいい、かっこいい、尊い、エモいしか言えないしな…というのは、要するにその言葉がありふれているからであって、どこかにオリジナリティを足せばよいのである。

 私は大喜利はド苦手です。でも別に下手でいいと思ってる。面白くなくていい、大事なのは熱量。旬のワードを使うのもいいと思います。お分かりかと思いますが最後の例はサバンナのギャグからインスパイアされたものです。世代がバレる。これ私マジで多用してるんですよね…この記事を推し作家が万が一読んで、私がその作家にこの表現使ったら「オッきたな」って思われるのかな。恥ずかしすぎて今なら東京湾にダイブできる(へ、下手~~~!!!!)。

 

 時を戻そう

 

 ②ーb「どう解釈したか」

 「どう感じたか」は短文感想でも使う。

 長文にするには、この部分にさらに「どう解釈したか」を足すといい。例を出そう。

 

 例1:○○頁の△△の台詞、××頁の□□の台詞と対置されてますよね?ここの構成がすごいと思いました

 例2:○○頁の△△の表情、哀しんでいるようにもほっとしているようにも受け取れて、この絶妙な描写がすごいと思いました

 例3:△△は前半から後半にかけて成長していて、その変化が寂しいと□□は思っているけれど、本当に変化していたのは□□だと最後にわかる。ここまで△△の変化を寂しがる□□の心情を読んできたからこそ、ラストが余計に悲しく、寂しかったです。

 

 例1~3はすべて「すごい」「悲しい」「寂しい」しか言っていない。それでもここの感想に分厚さを感じるのはひとえに「読み込み」である。その作品を自分なりに「解釈」してみること、これに尽きる。

 ここはすごくこわい。なぜなら、解釈が違うと怒る作家さんもなかにはいるからだ。私も、いつも解釈が違ったらごめんなさいと言いながら送っている。

 

 その「解釈」ができねーんだよ!というお声もあるかもしれない。手っ取り早く言うと「意味を考える」ということなのだが、これは話が長くなるのでChapter.1 以降に譲ろう。

 

 

 ③「そのように思った理由」

 ここは長文にしていくにあたり、大事なポイントとなる。

 ②ーb「どう解釈したか」は「そのように思った理由」を内包するので、ここでは割愛する。

 

 ②ーa「どう感じたか」という箇所に「そのように感じた理由」を加えていく。

 ツンデレを考えてみよう。なんでツンデレがかわいいかというと、「普段ツンツンしてるのに突然デレデレしだすギャップ」がかわいいわけですよね。要はギャップ萌えです。

 ただ、なぜかわいい/かっこいいと思ったかって結構難しいです。かわいいに理由がないことはままある。容姿にかかわる感想は特にあまり理由がないことが多い。でも、うれしい、楽しい、悲しい、苦しい、つらい、しんどい、などの一定の状況に対する感想は理由があることが多い。ここを掘り下げると解釈になる。

 

 なぜ萌えたのか?なぜそう感じたのか? これは自分と向き合うという行為です。解釈は作品と向き合う行為に近いと思うが、なぜそう感じたかは自分と向き合う行為。萌えも泣き所も千差万別なので自由に考えてみよう。

 

 例1:容姿にかかわる感想

 「さっきのデフォルメキャラで萌えていたところへのこの等身! ひたすら顔がいいですね…流し目がたまらないです」(ギャップ→どう感じたか→特にどこがよかったか)

 「ああ~~~鎖骨が!!鎖骨が見えている!!私推しの鎖骨チラ見えがマジで性癖なので、○○さんの絵で性癖ド真ん中ポーズを見れて、手元におけて…私は…私は幸せです…ジーザス全世界に感謝」(かわいい等の形容詞もいいが、性癖に響いた、好き等で自分の感情を表現。三点リーダーはオタクの友)

 「△△さんの小説って□□が筋骨隆々に描かれているじゃないですか、マッチョ好きとしてはそこがたまらなくて…漫画だと視覚的にマッチョが伝わってきますが、△△さんの小説は筋肉の盛り上がり方の描写ひとつとっても文字から鮮明に映像が浮かんでくるんです、本当にすごくて…」

 

 容姿にかかわる感想は漫画のほうが書きやすいかもしれない。小説だとそのまま文章を引用することが私は多いかも。あとやっぱり容姿にかかわる感想は自分がとにかく好き/性癖に響いた、だからかっこいい/かわいいと思った、というのが普通かなと思うので、ひたすら好きを主張するところだと思っています。告白タイム。

 

 

 例2:状況に対する感想…ここを掘り下げると、②ーb「どう解釈したか」と被る部分がある

 「本当はそんなこと全然思ってないのに、ここでこう言っちゃうのがつらすぎます。彼はそうまでしても感情を押し殺さないといけなかったんですね。きっと気持ちをさらけ出したくてたまらなかったでしょうに」

 (なぜ辛いと感じたか?→彼は本当はそんなこと思ってなかったのに「そのように言わなければならなかったから」。これは「彼」というキャラクターの感情の解釈につながる)

 

 「□□がずっと願っていたことがラストでかなって嬉しかったです。彼のここまでの苦労を見てきたので、□□がどれほど喜んだかと思うと…」

 (□□に感情移入して、一緒に喜ぶ)

 

 まあこのへんも本当に自分が思ったことを書けばいいのだと思います。というか感想は全部そう。

 

 

 ここまでが個々の感想を書くための大前提。長かったな~!

 まとめると、

 例「○○頁の3コマ目、(①どの部分に)

△△の表情がマジでかわいすぎてしばらく虚空を見つめることしかできませんでした。(②ーa どう感じたか)

△△って幼少期すごくつらい思いをしていたから、こんなにも全開の笑顔を見せられるほどになったんだと思うと尊すぎて…△△がこんな笑顔を見せられるようになったの××への信頼の表れですよね。もう最高です(②-b どう解釈したか)

私、ずっと△△の笑顔が見たかったんです。原作で描かれなかったからこそ見たくて…それを大好きな作家さんであるAさんの御本で見れたこと、本当に幸せに思います(③どうしてそのように思ったか)

 

 正直だいたいこれでOKなんですが、さきほど「どう解釈したか」を書くっつったってどう解釈するんだよ!!!!というのを一切説明しなかったので、それ+αを以下で説明していきます。

 

 ここからが感想をいざ実際に書いてみるとき、どんなふうに書いていくかです。構成の話も含みます。

 

 Chapter.1 感想の構成を考える

  いやぶっちゃけ私もこれ聞きたいんですけど皆さんどうしてるんですか? 私はマクロとミクロに感想を分けています。

 

 Step.1 マクロとミクロに感想を分ける

 a. マクロ:作品全体にまたがる感想 (例:作品全体からのメッセージ性、伏線回収、作品構成等)

 b. ミクロ:作品細部の感想(例:たとえ表現、表情描写、情景描写、パースの狂いのなさ、デフォルメの可愛さ等)

  

 まあぶっちゃけ無理に分ける必要もないのだが、私はだいたいマクロな感想を述べてからミクロに移行している。

 

 例「まず作品全体についてですが、~(以下、伏線回収、メッセージ性、ラストについてどう思ったか、全体における登場人物の感情の変化について等)~。(マクロ部分)

続いて、細かいところなのですが、pp.1-3の主人公の表情の描き分けが~。pp.4-8 あ~ここの表情、△△は嫌がってるのかと思いきやこの台詞!たまらないです!××のデフォルメ具合もめちゃかわいくてサイコーです!!! p.9 は~~さっきのデフォルメからのこの等身…ひたすら顔がいい… p.10の「…」のたとえ、いやここでこのたとえ出るのって□□の心情にも舞台設定にもぴったりでお洒落ですごすぎて…もう言葉も出ません(ミクロ部分)

 

 マジでこのへんって本当に人それぞれというか、私もページごとに感想を送るのどうかしていると自分でも思う。細かすぎるし、作家さんからしたら作品を読み直さないとこの感想を解読できないという手間を負わせているからだ。申し訳ないなあと思いつつ、細かく感動した部分をお伝えしたくて、まるで創作の副音声をお送りしているかのようなテンションでお送りしている。嫌がられたら辛いね…でもそれを恐れてたら長文感想なんて送れないから…

 

 ②ーa(どう感じたか)をページごとの副音声方式で書いていくと、正直これだけでも結構な分量になる。20頁ほどの漫画でも1000~2000字くらいは書けると思う。

 

 あとマクロとミクロと両方書く必要も別にない。好きなほうだけ、書きたいと思ったほうだけ。

 

 Step. 2 マクロな感想を書く:解釈をしよう

 

 さて、先ほど、②ーb(どう解釈したか)の書き方を後述すると言ったが、それはこの「マクロな部分」に主にかかわる。伏線回収、作品全体のメッセージ性、作者が何を描きたかったか、作品全体の構成、作品を通してキャラクターがどう変わったか、など。このあたりを自分なりに考え、解釈していく。

 

 ※注意(追記)※

 解釈はもし違ったときに作家さんにとって非常~に不快な思いをさせうるので、解釈を送る際は慎重にしたほうがいいです。最後のほうでも書いたのですが、ご自身の解釈に自信がないときは、解釈部分は踏み込みすぎないほうがよろしいかと思います。解釈を送らなくても、これまでご紹介した内容+ミクロ部分(後述)を書いていけば十分長文になります。

 あくまで以下のマクロ部分は解釈が苦手なひとの手助け、解釈の第一歩になれれば、という考え方の提示です。でも解釈は練習すればだれでもできるようになります。ぜひ読んでみてね

 

  

 「解釈」の仕方として私が意識するのは、「対比」「類似」「変化」この三つだ。

 

 ①「対比」「類似」について

 正確に言うと、私は類似を見出した時に、なんでここに類似構造を出すんだろうと考える。するとそこには対比構造が埋め込まれていることが多い。これを意識すると、伏線回収に気づきやすくなる。

 

 例:

 「このセリフ、さっき別のキャラが言ってたな…」(類似構造)と気づく。

 ↓

 なぜその作家さんはそのセリフをそのキャラに言わせたのか? を考える。

  ・そのセリフを言ったキャラクターのキャラクター性はどう違うか(やんちゃなキャラが言うのと、しとやかなキャラ言うのでは意味が変わってくる)

 ・状況はどう違うか、

 

 とにかく徹底的に「何が違うか」「なぜこの違いを描いたか」(対比構造)を読み込み、考える。構造の把握である。

  たぶん、類似を指摘するだけでも作家さんはうれしいと思う。そもそも類似構造に対比構造が埋め込まれていないこともままある。

 

 あと、対比はこういう構造だけでなく、キャラクターレベルでも発現する。年上/年下(上司/部下、先輩/後輩、兄/弟)、ヤンキー/ガリ勉、社交的/引っ込み思案、など。

 年上なら責任感がありそうとか、そういうのを考えながら読み解いていく。年上で強がってるけど実は弱さを持った人で、むしろ年下攻めのほうが芯が強いんじゃないか…というのを描写に忠実に読解していく(超大事。描写に忠実じゃないとだめ)。

 

 さらに二人の関係性だけでなく、同じ構造が作中に複数ないかな~と探してみるとその違いがわかり、解釈が深まる。意味わからんと思うので、旬ジャンルで解説しよう。

 

 例:鬼滅の刃には兄弟姉妹が複数出てくる。

   竈門兄妹、不死川兄弟、継国兄弟…など。彼らの違いはなんだろうか?

   それは、竈門、不死川は兄が強い。とにかく強い。弟を守るために身を投げ出すことを厭わない。

   一方、継国兄弟は兄が普通だということだ。兄は普通のひとだった。弟がずば抜けていた。それで弟を憎むことができたらよかったのだが、なまじ弟が優しいからこそ兄は兄であることのプレッシャーに耐え切れなかったのだと私は思う。その弱さにつけこまれて鬼になった…と。

 

  …というように、構造がいくつかある場合に比較するのもありです。

 私の自ジャンルは進撃ですが、たとえば進撃は104期という子どもたちと、大人たちの対比もあるし、父と子の対比(グリシャーエレン、グリシャージーク、ロッドーヒストリア、エルヴィン父子等々。ケニーーリヴァイもこの括りに入れていいだろう)もある。

 

 ②「変化」について

 もちろん作品によるのだが、登場人物の感情の変化、登場人物を取り巻く状況の変化に着目する。

 

 例:

・「AがBを好きだと思い始めたのは、二人の手が触れあった瞬間ですよね。めちゃくちゃきゅんきゅんしました。あんなに最初つんけんしていたのに!」

 これもまあギャップ萌えにかなり近いですね

 

・「Cは作品を通して成長していますが、作品の序盤と終盤でどんなふうに物の見方が変わったかというと…となっていますよね。途中の反抗心も、ああこういうの私にもあったな~としみじみしました。最後の彼の台詞、いちばん彼の変化を感じられ、胸に迫りました。彼の成長を間近で見ている気持ちになりました」

 自分の経験と重ね合わせる、は感想文には割とあります。ただ当たり前ですが自分の経験を話しすぎてはいけない。作者に送るものに自分語りをするのはさすがにね…あくまで作品語りをする場です。

 

・「Dは病を患ってから、死に対する考え方が変わったんだなと思いました。死に近くなった分、拒絶から受容へ変化した。だから死に顔があんなにも安らかだったのだと思います。これまでの彼なら、きっとああはなれなかったでしょう」など。

 「もし変化していなかったら~」を語るのもあり。でも語りすぎてはだめです。これまた自分の妄想を送り付けることになるからです。

 

 あとは、弱みをひとに見せることができなかったのに、最後は弱みを見せるようになったとかも、よくある成長の描かれ方ですね。

 

 あるいは、逆に「変化していない」ことにも注目するのもあり。

 例

:「○○も△△も□□もみんな変わっていった。でも彼だけはずっと変わっていなかった。彼の最初の台詞と最後の台詞、言う状況は全然違うのにまったく同じ台詞だということに気づいたとき、鳥肌が立ちました」

 「Xが変わっていくのに、Yは変わっていないように描かれている。でもXを受け入れたYもまた、変わったのだと思う」

 

 で、ポイントはここなんですよね。

 「このように描かれている」、これは作品に沿った客観的な視点。実際にそう描かれているという事実。

 だが「Yも変わったのだと思う」こちらは、主観的な視点であり、解釈だ。これは物語には描かれていないが自分はこう思ったという解釈。これが長文感想のもとになる。

 

 ここで大事なのは、きちんと本文を読み込むこと。本文からありえない発想をするのは解釈違いになりがちなのでNG。どうしてそう解釈したか、を書こう。

 例で言うと「Xを受け入れたという変化がある」だから「Yも変わったのだと思う」のであり、理由がきちんとある。妄想を混ぜてはいけない。

 解釈違いが起こるのは読み込み方の問題なのかな~と思っている。その作品の描写に忠実に考えることが何より大事。そういう意図で書いてないですと言われてしまったら…うん…哀しい、自分の読み込み方に問題があったということだから。

 

 あえて妄想を入れるとしたら「結末のその後の二人を~~~なふうに妄想しちゃいました」くらいなのかな~と思う。それも正直微妙だと思いますが。あえて作者がぼかしたところを提示しても正直作者は困るんじゃないかな。人にもよると思うけど。「いろいろ想像しちゃいました」くらいがちょうどいいのかも。

 解釈と妄想は全然違う。感想文は、妄想という名の三次創作を開陳する場所ではない。

 「ここの表情、○○○の部分でも触れられていますし、もしかして…ということなのでしょうか?(違ったらすみません!)」とかならいい、のかなあ…わからん。まあでもとにかく抑えめ。堂々と妄想を語らないほうが無難。断定表現は避け、妄想を入れるとしても根拠を示した方がいい。なぜ自分がこう思ったのか、根拠、理由をきっちり書こう。

 

 

 難しいですね。私にとっても難しいところです

 

 

 Step. 3 ミクロな感想を書く

 これは要するに着眼点さえモノにすれば、あとはどう感じたかを書くだけ。簡単。

 漫画を描くひとが「文章が拙くて感想が書けん」みたいなことをおっしゃるのをみたことがあるが、漫画を描く人はね!!!!漫画を描くからこそ、すごさに気づくことができるので!!!!!!!自信持ってください!!!!!!というか私に教えてください…

 

 私は漫画を描いたことがないし、絵もほぼ描いたことがない。絵を描いたのは、絵がド下手芸人なのにもかかわらず、突然推しにトチ狂って推しが脱糞する絵を描いたときくらいだ。「ウンコ」って名前のレイヤー作ったって友達に言ったらめちゃくちゃ笑われた。

 そんなわけで、漫画を誉めるときの着眼点がいまいちよくわからない。パースの狂いのなさとかわかんないしね…私が描いた絵はデフォルトが複雑骨折してるので人体描けるだけですげええ~~~という感覚です

 

 

 ①漫画作品を誉める場合の着眼点(漫画を描いたことのない私なりに考えてみた)

 ・コマ割り

 余韻を持たせたり、あえてここで大コマ使ったり。コマ割りで変わるのはスピード感だと個人的に思っている。大きいコマだと時間が止まったような感覚になるし。緩急ががっつりついていて、ここまで疾走感にあふれてきたのに、あえてここで一ページ丸々使って時間をぴたりと止める、とか。そういう緩急のつけ方に着目する。

 

 ・オノマトペ

 オノマトペ、つまり擬音語、擬態語のこと。まあエロシーンだと濁点喘ぎとか♡喘ぎとかぐちゅ、とかぐぷ、とか「好みの喘ぎ」「好みのオノマトペ」がそれぞれあると思うんですけど(ある…よね?)、「かちゃかちゃ」「バタン」「キーン」などのオノマトペに好みって、普通そんなにないと思う(「トテトテ」歩くのとかかわいいけど)。 

 

 むしろオノマトペは無音になったときにこそ意味があると思っている。そこまでいっぱいオノマトペが描かれていたのに、ぴたっとそこに無音が訪れる。台詞、表情に惹きつけられる。これまた緩急のつけ方だろう。ギャグシーンとかでも結構使われますよね。無音の間。

 

 ・デフォルメキャラ

 これはもう…かわいいので…

 

 ・表情、ポーズ等

 この辺はみんなそれぞれ好みがあると思うので…ここは漫画というか、絵ならではの部分。小説と異なり視覚的に飛び込んでくる絵のどこが好きなのかを書く。視線がどこに投げられているのか、その表情はどんなふうに見えるのか(悲しそう、うれしそうという感情はこちらが感じるしかない)

 

 うわ~~~想像以上に漫画作品における着眼点が私に!!!!ない!!!!最後の二つとか特にだれでもわかることだしな!!!!!!本当は構図のすごさとか、パースがきいてる?とか、いろいろあるのだろうと思うのですが、いかんせん気づけないので…こんなもんでしか語れねえんだ…えらそうにすみません…いやまじか……想像以上に引き出しがなかった……教えてください 私には無理や

 

 

 ②小説作品を誉める場合の着眼点

 だからといってじゃあ小説は褒められるのかっていうとこれも私は微妙だ!!!!!すまん!!!!!

 

 ・背景描写、情景描写

 よく、主人公の心情が天気模様に表れているのを国語の授業で見ませんでしたか? 悲しいときに雨が降ってたり曇り空だったり、そういうやつがまずある。ただの背景描写にもそれぞれ意味がある。

 天気だけじゃない。もう誰も座る人がいないのに、それでもそこに椅子が置かれている意味は? とか。花言葉とか。小物の意味を考える。花が満開だったのに最後は散っている意味は? など。

 

 また、小説は絵と違って視覚に頼れないので、どのような匂いなのか、主人公はそれをどう感じたのか、豊富な語彙を使って詳細に描いていく。そういう視覚に頼らない、匂い、色彩感覚、温度といった五感にどんな語彙を使うか、そこにその作家さんの個性が出ると思っている。そのなかで自分の琴線に触れたものを伝えてみよう。

 

 ・比喩表現

 すごい作家さんは比喩表現が上手い~~~~~!!!!!!ここでそのたとえが出てくるのか!すげえ!と唸るような詩的な比喩表現。それもただ発想力のある独創的な比喩というだけでなく、そのキャラクターに、その舞台設定に合った比喩表現であるというのがマジですごい。

 

 ・リズム、流れ (※句点、読点につき、一部改変しました)

 漫画と違って、文章は視覚的にリズムを作れない。だから作家さんは、どこで読点を入れるのか、句点を打つのかにも気を遣う。短文が続くとテンポがいい。アクションを描くときとか要所要所で短文が入りますよね。長文が続くと緩やかなテンポになり、考えさせる部分になる。

 読点も同じでリズムをつくっている。「俺はこいつとどうなりたい」より「俺は、こいつと、どうなりたい」のほうが、戸惑い、自問する様子が伝わります。

 

 以前「読みやすいというのは誉め言葉じゃない」みたいな話が話題になったが、「読みやすい」というのはこのリズム、流れがすごく自然だということだ。

 たぶんこの「読みやすいは誉め言葉じゃない」というのはつまり、「読みやすい? 私の文章は子どもっぽい語彙だって言いたいの?!」というふうに感じられたのかな?と思う。確かに難解な語彙を多用する作品もすごい(よくこんな言葉知ってるな~と思う)けど、その語彙の使い方で慣れてなさが垣間見えたりすると「背伸びしてる感」が出るし、難解ならなんでもすごいってわけじゃないだろう。やわらかい語彙を使ってて読みやすいのに、内容が難しくて考えさせられる…みたいな作品もあるし。

 正確に言うと、語彙の堅さ/柔らかさと、読みやすさ/読みにくさと、内容の難易はそれぞれ全く別の話だ。語彙の堅さ/柔らかさは知識の話、読みやすさ/読みにくさはリズムの話、内容の難易は内容の話だ。

 

 そんなわけで、私自身は「読みやすい」はめちゃくちゃ誉め言葉だと思っているが、「読みやすいは誉め言葉じゃない」という話が出てからは「私は『読みやすい』が誉め言葉だと思ってるタイプなんですけど、このあたりの文章の流れとか本当に自然で読みやすくて、すっと頭に入って来るんです…」と一応一言入れる(こともある)。

 

 

※注意点※

 こういう技術的な部分を褒めるの、上から目線になりがちなのでそこはマジのマジで細心の注意を払った方がいい。これ誉め言葉というよりアドバイスではって思い始めたらアウト。送る前にしっかり読み直そう。

 どう気をつけたらいいのか上手く言えないんですけど、嫌味にならないように、でもここがすごい!って言えればそれがいちばんいい。

 なんだろう…例えば、アヴリル・ラヴィーンの歌、音程外してなくてすごいよね~とか言ったらそこか?いや歌手だしそれは舐めてんのか?ってなるけど、あんなたっかい音よくブレずにロングトーン出来るよな…改めてすごすぎるよ…とかなら嫌味じゃないし…みたいなことなのかなあ。うーんなんかちょっと違うかも。

 とんちんかんなことを言うとアレ…?って思われてしまうかもしれない。私は漫画はマジでまったくわからねえ~ので、技術面はあんま深く言及しないです。でも「スピード感がすごいのに、ここでオノマトペが消えて止まって間ができてるのめちゃくちゃ笑いました!」くらいは言うけど、見当違いだったらどうしよ~とかはいつも思う。

 

 

  以上、こんなところです。

 

 ※追記 

 で、結局どんなふうにまとめるのよっていうのがわかりやすく書いてあるツイートを発見したので貼っておきます。ぜひ

 

 

 

 といってもですね、感想なんていうのははっきり言って自分の書きたいように書けばいいんであって、これは本当にひとつの参考例です。あくまで何から手をつけりゃいいのかわからんという人向けです。

 

 たとえば、私は以前BANANA FISHの最終回の感想を書いたのですが、

turkey-a-san1102.hatenablog.com

 これなんかマジでただのお気持ちですからね。対比とかなんもないし。ただひたすら妄想繰り広げたり自分の経験を思い起こしたりしているだけで、はっきり言ってイタい…よな…わかります。イテテテ。それでもまあ、お気持ちだけでこの程度の分量は書けるのだ。だいたいこれで2800文字くらいです。

 

 

こっちはまだ解釈をしようと試みているかもしれない。本誌読んでたので単行本買ってないのですが、ひょっとしたら本誌バレなのかな? アニメ化はまったくされてない部分の感想なのでお気を付けください。

turkey-a-san1102.hatenablog.com

 

あくまでご参考まで、です。

 

ほぼここまでで言いたいこと全部言い終えたんですが、以下蛇足。

 

 

 Chapter. 2 感想を送るのが怖い? (やや蛇足)

 Chapter. 1までは感想の書き方の話をした。ここでは感想を送るに際してのメンタリティについてだが、まあそれについては散々言われてきたとおりなので短めに。

 要するに、感想はどんな短いものであっても送られた方はうれしい(はず)、ということだ。

 送る側としてはこわいのはわかる。特に長文だと、解釈違いって怒られたらどうしよう、とか。でもまあ感想は送ったもん勝ちなのでいいと思います。それでも怖い、自分の解釈に自信がないという場合はそもそも解釈を書かなければいいんですね。解釈違いが起きないようにするために、作品の解釈までは踏み込まず、ミクロ部分でひたすら熱意を伝えることがいちばん無難です。ミクロ部分だけでも十分長文になるし熱意は伝わる。

(あと、長文感想を送って気持ち悪いって思われないかな~とか不安になることもあるので、そういうとき私はその作家さんがほかのひとの感想に対してどう返事しているかを見てます。結構フレンドリーっぽいから大丈夫なのかな?と思ったら記名で送る。そうでもなさそうだったらマシュマロ、メールで無記名とか。場合によっては長文は控える)

 

 で、それは散々言われてきたことなのでこのくらいにして、今回の増田が嫉妬する原因を考える。感想屋さんは人目に付く部分で感想を述べていたらしい。それが界隈の傾向が変わった原因であり、増田が嫉妬した原因である。

 自分が意図しなくても勝手に相手に嫉妬されるのはよくあることなので、感想を送るときに人目につかない場所から送るのがいいと個人的に思う。というか私はそうしている。マシュマロとか奥付のメール、DMなど。誰々に送ったのに私に送ってくれないという無用な感情を呼び起こさないために。周りを見ていても、感想以前に誰々の同人誌を買ったとかもあんまり言わない方が多い気がする。 

 いや別にオープンで書くことが悪いわけじゃない、そんなルールないし。でもこういう波立たせ方をしない無難な生き方を選ぶなら、クローズドな場所の方が楽だよねって話。

 

 増田は、感想屋さんのおかげで投稿数が増えたのはうれしいみたいなことを描いていたが、感想を人目につかない場所で送っていたとしても投稿数は増えたのでは?とも思う。たぶんだけど。さすがにオープンに感想を書いて界隈を自分好みに寄せるのが目的とかはないと思います。わからんが。

 人目につくところで感想送ることの影響が「あの人に感想送ってる、私ももらいたい、だから頑張って描こう!」ってことだったんだろう。そんなにたくさんのひとがそうなったというのはマジで感想屋さんの能力が高い。でもそこまでしなくても、個別に送られればそれで励まされて投稿が増えた人だっていたんじゃない? とも思う。

 

 感想は感想でしかないので、いくら感想を送っても作家さんはやめるときはやめるし、ジャンル移行するときは移行するもんだと思う。私は微力ながら執筆の活力になれればこんなに光栄なことはございませんみたいな姿勢で送っている。とにかく作品への好きが止まらずに放出しているだけだが、あわよくば…活力になってくれたら…みたいな感じ。

 でも、送らないと心が折れる作家さんがいることも知ってるから、とにかく「うおお頼む!今回マジでよかったから次回もよろしくお願いします!」という祈りの意味も込めながら送る(絶対作家さんには言わないけど。次回もお願いしますってなんかプレッシャーかけてるみたいだし嫌がる人は嫌がると思うから)。まあとにかく応援なんだよな~~応援の気持ち!応援の気持ちで送ろう!誤字だけ送るとかは絶対だめだぞ!そもそも誤字なんかは聞かれたとき以外送らないほうがいいんだからな!

 

 あと、応援の気持ちを見返りなしに送るのが長文感想文なので、相手の反応に期待しないほうがいいのではと個人的に思う。私は幸い嫌な思いをしたことがないけど、なかには長文書いたのに返事もらえなかった…というひともいると思うので念のため。

 やっぱ長文感想を書くのはエネルギーいるから、喜んでもらえないとこっちもへこむのはわかる。でももともと感想って愛を綴るだけ。応援するだけ。そういう姿勢で無理なく感想書く方が気楽だ。もちろん、相手に喜んでもらった方が書いてよかった~!って思えるのはそうなんだけどね。

 

 (有償の感想屋はまあ、需給がバッチリってことならいいんじゃないですか? って思うけど、賛否両論あるのはまあそうだろうねとは思います。特別賛成反対もないかなあ。私の感想が有償の感想屋のものかもと疑われるのはな~とは思うけど、それはまあ…宣言するしかない。感想屋じゃないです、と。しがない文字書きとしては別に有償で感想屋から感想送られてきても嬉しいかなあ。でも私は自分の性癖を発露するために書いているのであって、誰かに長文感想を書いてほしくてやってるわけでもないので、そこに強いこだわりがないからかもしれない。誰であれ読んでくれるのはうれしい。読んでもらえんと思って書いてるので

 

※追記 有償の感想屋、めちゃくちゃ燃えててびっくりした。まあいいんじゃないですか?とかじゃなくて思いきりだめですね。あれ感想文なの?と思ったけど、それはそれとして返金トラブルとかいろいろ…まあだめだなと)

 

 

 というか、そもそも増田のいうところの感想屋さんの感想文、絶対すごくいい感想文でしょう。私も読みたい。どんなふうに書いているのか知りたいもんね。自分の感想執筆力を高めるのには打ってつけ、最高の環境では(増田がそういうふうに思う気力もなくてあの文章をしたためたというのはもちろん理解しているけれど)

 

 

 Chapter.3 さいごに (蛇足の蛇足)  

 

 まず前提として、私は界隈の傾向を左右するような力はまったくないし(界隈がでかいし、そもそも私は今いる界隈に足を踏み入れたのは最近なのでドドドドドドドドド新規。まったく偉そうなことは言えない)、仮に左右するような力があったとしても自分の感想で作家の傾向が変わってほしいとは全く思わない。そりゃまあ好みの作風はあるけど、好きな作家がそれぞれの好みににトチ狂っているのを見たいのであって、私自身の好きなものを書いてほしいわけじゃない。いやまあ…うん…自分の好きなものは見たいよ、見たいけど作家さんの好みを変えてまでとは思わない…

 

 長文感想の長さについて、私は長文で送るときはだいたい3000~1万字くらいのを送るので、まあその程度書いてれば長文の部類には入ると思う。ただ長文で送る数は多くはない、というかむしろ少ない(なので引用元の感想屋さんと違い、私は長文感想を送る能力は高くない。あーだこーだ偉そうに言ってきたけれど…短文感想は普通に書いてるよ)。やはり感想を書くにも創作とは違ったエネルギーがいる(私はしがない文字書きです)。

 作品と向き合い、自分と向き合い、思考するのは、創作と同じくらい大変な部分もあると思う。創作にエネルギーが必要で書ける日も書けない日もあるのと同じで、感想を書くのもエネルギーがない日は書けないし、ある日はバリバリ書ける。感想屋さんはそのエネルギーがめちゃくちゃある。それだけで才能だな~と思う。

 

 さらにそもそも「長文感想を書く」能力と「感想を送る」能力は似て非なるものだと思う。長文を書く能力を持っていても送らなければ意味がない(自戒…)。短くても送られた方がよほどうれしい。長文感想を書けるようになるための記事を書こう!と思って書いたが、長文感想を書くのが苦しかったら無理に書く必要はまったくない。感想は義務じゃないんだし、長文が書けないなら短文でも十分すぎるほどにいいのだ。

 

 結論:感想を書こう!送ろう!

 

 以上です。ご清聴ありがとうございました。

 というわけで! よければこの記事のご感想などお願いします!短文でもうれしいんだぜ!(でも無理はしないでね) 中傷はなし

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